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【UTMF 企画 最終回】実践で使える!New-HALEテーピング&ケア

さて、最終回は、前回に引き続きテーピング講座です。実践で使えるテーピングテクニックを紹介します。最後にはメンバー2人にも5ヶ月を振り返っての感想を聞きました。

レース前・レース中におすすめのテーピングテクニック

レース前のおすすめテーピング1:後半でも楽に呼吸をする、ザック疲れを軽減する鎖骨下

参加するレースの距離が長い場合、背負う荷物もおのずと重くなります。何時間も重いザックを背負って走ると、上半身にもダメージを与えます。さらに、レース後半でだんだんと身体が丸まり、猫背になることで胸のあたりが詰まって息苦しさや肩こりに繋がります。まずは必ずトレーニング時からレース想定の重さでザックを背負い、ある程度慣れておくことが必要です。荷物を背負って走るということは、揺れや姿勢の乱れレースではジリジリとダメージを受けることになります。通勤ランも良いかもしれませんね。

【貼り方】
枻出版社「新テーピングの基本」P42~P43 <肩~鎖骨下>
小胸筋を緩めることで、裏側の肩や肩甲骨周りの凝りも緩んできます。
1、自分より後ろの壁などに手をついて、腕のつけ根から胸が痛気持ちいい程度に伸ばします。
※その時に上腕は地面と並行にし、呼吸を止めないでリラックスした状態で筋肉をゆっくり伸ばしていきます。
2、肩のポコンとした筋肉(写真〇の位置)を始点に体の中心に向かって、テープを伸ばさずに貼ります。
 
1、の体勢はストレッチとしても有効。レース中はもちろん、日頃からよく伸ばしておきましょう!

レース前のおすすめテーピング2:New-HALEアスリートも使用率ナンバーワン、腰と背中のテーピング

レース前にトップ選手にテーピングを施す時、最もリクエストが多いのは腰です。膝はトラブルがないけど背中だけは貼るという選手もいます。ウエアで覆われていて見えないので案外知られていない場所ですね。後半の腰の重さの軽減、胃腸が疲労すると背中に凝りが出る、寒暖差でお腹や背中が冷えて固まるなどのトラブル予防にもおすすめです。練習すれば自分で貼れますよ!

レース前のおすすめテーピング3:脚が上がらなくなってくる後半で、酷使しがちな前脛(スネ)

レース中にエイドで「捻挫をしていないのに足首の前が痛い」という人がいます。後半で脚が上がらなくなってきて足首から下で漕ぐようにして蹴って進んでしまうと、つま先を上げる度に脛(スネ)の筋肉を使うため、前脛や足首の前の部分(ちょうど90度になる曲がっている部分)がダメージを受けます。脛(スネ)の筋肉の疲労で、足首が曲がる部分を刺激している可能性があります。つまずきたくないが故につま先を上げて走っている人にも同じトラブルが見られます。疲れて足が上がらなくなった時の足運びには要注意です!

前スネ(前脛骨筋)

【ワンポイントアドバイス】こんなことも、トラブルの一因!靴紐の締め方をチェックしよう
シューズの靴紐はどんな風に締めていますか?まさか結んだまま足を突っ込んで無理やり履いたりしていないですよね。まずは、シューズを履く時には【毎回】全部ゆるめて、一番下からひとつひとつ締めていく。これが大前提です。適当に締めていると、シューズのなかで足がブレたり前に滑ったりして、爪や皮膚などの直接的なトラブルや、指で踏ん張ることにより、足裏やフクラハギなど他の部分の故障に繋がります。何もトラブルの原因はランニングフォームだけではありません。ちゃんと靴紐を締めているか?いまいちど目を向けてみてください。
<おすすめのシューズの履き方手順>
足の甲の高さは斜めになっています。靴紐のつま先側だけちょっとキツメに締めることによって、靴の中で前後に動くことを防ぎます。甲(足首側)は締めすぎないことで、足の痺れなどが出ないようになると思います。
1.かかと(ヒールカップ)を合わせる
2.写真のようにつま先側(一番目)と(二番目)の穴の部分をギュッと締める
3.三番目以降の甲は締めつけ過ぎないように結わく

レース中のトラブル代表格:とにもかくにも、膝が痛い!

前回も膝の痛みについて紹介しましたが、「膝が痛い」という声はレース中のトラブルの筆頭です。原因は様々で、膝そのものの不調ではなく、膝上の大きな筋肉に問題があることも少なくないのです。

「悪天候のレースではぬかるみや泥で滑りやすい下りを走ることになります。慣れない泥の下りでブレーキをかけながら走ると、膝から上の筋肉に大きなダメージをあたえます。例えばUTMFでは、天子山地の下りが泥でズルズルになりがちです。そうすると、麓エイドや山中湖きららエイドに着く頃には、『膝が痛い』と訴える人がたくさん出てきます。触ってみるとハムがパンパンに張っている人、膝とお尻の付け根が痛いという人が多いんですよね。そういう人は“いままで膝なんて痛くなったことなかったのに!”と嘆いていたりします」(芥田)

VテープやXテープ、ニーダッシュで膝をサポートする方法は最もメジャーですが、原因となっている筋肉へピンポイントで貼るほうが良いこともあります。まずは、腿(もも)の裏側にあるハムストリングス、腿の前にある大腿四頭筋を疑ってみましょう。最初からバッドコンディションが分かっていれば、Vテープにハムストリングスのテーピングをプラスして出走するのもおすすめです

ハムストリング真ん中からヒザ裏

前もも(真ん中)

【ワンポイントアドバイス】レース中、汗や泥で汚れた肌にテーピングをするコツ
レース前ではなく、レース中にテーピングをしたい場合、肌の表面に汚れがあるとうまく粘着できないことがあります。また、肌が濡れている状態も同様です。まずは、肌の表面をきれいにする必要があります。肌を拭く時、ティッシュやトイレットペーパーなどの柔らかいものよりはキッチンペーパーが良いですね。ティッシュなどは濡れると細かいくずが出て、皮膚に残ると剥がれやすくなります。また、ピュアバリアは肌が荒れやすい人向けにテーピングでの肌刺激を抑え、素肌を保護してテーピング時のかぶれを軽減するというものですが、レース途中でのテーピングの際に一度塗ってから拭き取ると「ピュアバリア」が肌を整え、しっかり貼れるという裏技です。

1.濡れタオルかウェットティッシュで汚れをきれいに拭く
2.拭いた時の水分が残っているとテーピングが付きにくいため、ピュアバリア モイストジェルを肌に塗った上で、それを乾いたキッチンペーパーで拭き取る
3.テーピングを貼ったら、温めるように手の平でしっかりと押さえ付けてください。

2人のランナーが取り組んだ5ヶ月間

最後に、ニューハレUTMF完走企画に挑戦した2人に5ヶ月間の振り返りと今後について聞きました。

IKUKO-志賀郁子
オンラインコーチングには、ナイト練と1on1以外は直接会うことがないので、フォームやペース配分などは自分で自分の体に向き合うしかありません。ただ、それで逆に考える力がついたと感じています。オンライン上でのやりとりではありますが、毎日コーチが自分に付きっきりでみてくれているという感覚が、プレッシャーでもありとても良かった部分でもあります。
トレーニング初期の頃にストレッチやケアを正しく行っていなかったこと、時間がないことを言い訳にトレーニングメニューで指定されているウォーミングアップ&クールダウンのジョグを短縮してしまったことは反省点のひとつです。いままでレースの準備と言えば走る練習しかしてこなかったのですが、ケアの大切さを学ぶことで練習と同じくらい大事なことが他にもたくさんあると初めて知りました。
もしコロナがなかったら、人生で一番の挑戦、富士山を囲む素敵で神秘的な山々を160km走りきって(歩ききって)、家族と奇跡みたいに豪華なコーチの方々とニューハレ関係者のみなさんと一緒にトレーニング頑張ってきた同期ひろきさんに感謝して、UTMF完走に乾杯していたはず。トレーニングが始まった時からわたしのUTMFは始まっていて、4ヶ月間今までからは想像もつかないトレーニングやり切ったから、中止の記者会見はあんまりショックじゃなかったのに、そんなタララバが頭をよぎるぐらい良い天気な週末で、UTMFの週末はさすがにちょっとだけ感傷的な気持ちになってしまいました。2018年のSTYのTシャツ着て娘と河川敷でジョギングとテニスして、自宅の大掃除をして、のんびりした週末を送りました。今回の企画を通して、レースのためのトレーニングも含めてレースだと思えるようになったことは大きな収穫です。ゆるく楽しむだけじゃなく、レースを最高の思い出にするために頑張ることも楽しいと思えるようになりました。企画は終了しましたが、Tomoコーチが組んでくださった5ヶ月分のメニューday 1から再びスタートしました。見てろよ、2021 UTMF。2018年の私とは別人になってやるぜ!

HIROKI-田中拓希
オンラインコーチングでは、トレーニングピークスでTomoコーチと毎日コメントのやり取りが出来たため、モチベーションを高く保つことができました。仕事がしんどくて練習をサボってしまいそうな日も、コーチングメニューが入っていると頑張れました。その一方で、身体の疲れに気付けず(報告できず)練習を詰め込んでしまい、大会1ヶ月前の大事な時期に脚の故障を招いてしまいました。Tomoコーチから「身体の声を聴くこと」の重要性を常々教わっていましたが、パフォーマンスを上げたい気持ちが大きすぎて、トラブルに繋がってしまいました。 また、それぞれのコーチから学ぶことが非常に多く、しばしば頭がパンクしてしまいました。今後、過去のトレーニングピークスのメニューとブログ記事を読み返しながら、学んだことを一つずつ整理したいです。 この4ヶ月、本当に濃い時間でした。この企画にチャレンジさせて頂けたことは、自分がトレイルランニングを始めて以来、一番大きな出来事でした。各分野におけるスペシャルなコーチから学ぶことができ、夢のような時間でした。この企画を通して、これまで漠然と自分の胸の中にあった「100マイル完走」という目標を、具体的に描くことができました。 UTMFの中止は何となく予想がついていたので、その決定を聞いた時には仕方がないなという心境でしたが、「初めての100マイル完走!」という企画のミッションを果たせずに終えることはとても残念です。 しかしながら、この4ヶ月間で学んだことは確かなものとして自分の中に残っています。これから生涯続くであろう僕のトレイルランニングのある生活の中で、「100マイル完走」の一報は、まずコーチの皆さまにお届けしたいです。トレイルランニングが更に好きになりました。山に行ける日が楽しみです。本当にありがとうございました。

Tomo’s Pitの井原知一コーチのオンラインコーチングを軸に、小川壮太コーチのテクニック講座、塙翔太コーチのコンデイショニング講座を行ってきました。結果的に、対面で行う講座はコロナ禍以前に行うことができ、“オンライン”で行うコーチングがこんな風に活きることになるとは私達も思いもしなかったことです。ニューハレやPRO-TECはトレーニングやレースにおける究極の「セルフケア」です。これからの世の中でオンラインコーチングと身体のシグナルがわかるセルフケア知識への需要はもっと高まるのではないでしょうか。

いつになるかわからないですが、いつかきっとやってくる“その時”にベストパフォーマンスを発揮できるよう、今回の企画がみなさんにとって役立つことを願っています。

【過去の記事】
1、New-HALEと一緒にUTMFを完走しよう!
2、日本最大級の100マイルレースUTMFに挑む
3、オンラインコーチング、はじまりました!
4、1月のトレーニング 生活、成長の実感あり?
5、身体のケアに時間を割いていますか?
6、161kmを確実に走り切るための基本テクニック編
7、Tomo’s Pitの1on1トレーニングセッション レース実践テクニック
8、暗闇を攻略する!ナイト練で見えてきた課題
9、練習でのトラブルと在宅ワークの凝りを改善するNew-HALEテーピング&ケア

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