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【UTMF 企画vol.4】身体のケアに時間を割いていますか?

みなさん、レースに向けたトレーニングは順調ですか?想像がつかない161kmという果てしない距離。それが100kmだとしても80kmだとしても、長距離レースの場合「一体どれほどの練習すればいいのか」と不安を感じて、とにかく走って走って走りまくっている人もいるかもしれません。

100マイルなどロングレースに足を踏み入れると、度々耳にする言葉「強い」。完走する人には強いランナーが多いのです。そして、ここで言う「強さ」は、走力のことだけでしょうか。当日までの過程もまた完走への道のり。100マイルには様々なトラブルが待ち構えていると言いますが、それはレース前でも同じ。その筆頭が、怪我・故障です。距離への不安が募るあまりに、急に走行距離を増やしていませんか?とにかくひたすら走っていませんか?

走った時間と同じくらいの時間、身体のケアに時間を割いていますか?

今回のテーマはコンディショニング。コンディショニングとは一体何か。走らない日を”ランオフ”なんて呼ぶ人もいますが、休足とは違うのでしょうか。コンディショニングを教えてくれるのはトレーナーの塙翔太さん。アスレティックトレーナー兼ランニングトレーナーとしてアスリートや一般ランナーのコンディショニングやトレーニング指導を行っています。トレーナーだからこそ出来るアプローチで指導してくれる心強い存在です。塙トレーナーは、ニューハレテーピング公認トレーナーであり、PRO-TEC ATHLETICS 契約トレーナーでもあります。(ニューハレ製品の販売元 株式会社ニューハレックスではトレーニング・ボディケアアイテムであるPRO-TEC ATHLETICSという商品を輸入販売しています)

これ、これです。マッサージにより、筋肉疲労や張りをほぐして、筋肉の柔軟性を取戻してパフォーマンスアップに繋げるというもの。練習で筋肉がカッチカチになっていませんか?筋膜リリースのローラーやボールは買ってみたけど家のすみっこに転がっているという人はいませんか?塙トレーナーにPRO-TECのアイテムを使ったセルフケアの方法、効果的な使い方と使い分け、悩みに応じたボディケアをマンツーマンで教えてもらいました。

まずは自分の身体を知ることから始めよう

最初に行われたのはカウンセリング。怪我歴、現在の状態(故障有無、気になる部分)、ケアにかけている時間など次々と質問が飛んできます。IKUKOの悩みは、ふくらはぎ(ヒラメ筋、アキレス腱周辺)の違和感。強烈な筋肉痛のような感覚だけど故障かどうかわからない。鍼治療で軽減してきたけれど、今後これを繰り返さないための根本的な改善とケアが必要だと感じている様子。

オンラインコーチングが始まってから、傾斜15%のトレッドミルを走る練習でふくらはぎに負担がかかり、筋肉が張って痛くて走れなくなったため、メニューは大幅変更。休足とジョグを繰り返し、鍼治療でほぐしてやや改善傾向にあるという状態だとか。ストレッチやマッサージは、ほとんどやっていない。週1~2日にヨガに通っているので、その時にストレッチをするのみ。あとはお風呂でなんとなくモミモミ程度。

これを少ないと感じるでしょうか。普通と感じるでしょうか。塙トレーナー曰く「週に7回走るのであれば、ケアも週7回すべき」だと言います。でも「やり方がわからなくて・・・」というIKUKO。しゃがんでみてください、と言われてやってみると・・・

「く、くぅ・・・・!」

IKUKOさん、めちゃくちゃ身体がかたい!次に、マス目が描かれたシートの前に立ち、複数の動作を行いながら塙コーチが動画や写真をパシャパシャと撮影していきます。片足立ちをしてみたり、しゃがんでみたり、反り返ってみたり。おもむろに始まった身体能力テスト的なもの(身体アセスメント、身体評価)に戸惑いつつ言われるがままに動いていきます。その後、動画を振り返りながら細かいフィードバックを受けます。

画像に線を引いたり、ズームしたり。どの部分にどういった問題があり、どういう形になっていると理想的なのか。画像と図解で説明を受け、客観的に自分の身体の動きを見ると、自分でも気付かなかったことがどんどん見えてくるのです。カラダの癖やパフォーマンス低下の原因をアセスメント(客観的評価)から抽出し根本から改善することができます。

IKUKOの改善点 足首のかたさによる脚全体への負担を軽減、柔軟性を上げる・胸を開いて呼吸を楽にする

①足首が硬い

ふくらはぎの違和感はここに原因があるかも。足首が硬いために膝を曲げる動きの時に、膝が内側に入ってしまい、膝や腿回りにも負担がかかっている。161kmを走る上でジリジリと負担が積み重なり、このままでは後半に脚が痛くなる可能性もある。足首周りを動かせるようなケアを行いましょう!

②背中が丸まりがちで胸が開いていない

帰宅ランで重いザックを背負っている、オフィスワークで猫背になっていることが原因になっている可能性も。胸が開いていないと、走る時に呼吸が苦しくちゃんと酸素が吸えない。胸椎を開くストレッチを行いましょう!

ケアは“なんとなく”ではなく、目的と意味を持って。
決められたメニューを毎日行うことで常に良いコンディションに。

ストレッチと言えば、前屈や開脚、屈伸をして手首足首をぐるぐる・・・。ボールやローラーはなんとなく違和感があるところにあててコロコロ。数分やったらこんなものかな?と思って終了。本や雑誌にはたくさん載っているけれど、全部やるには時間がかかりすぎる。でもどれを選べば良いのかわからない。

そこで、塙コーチはIKUKOさんの悩みと課題に合せて、ウィークポイントを改善するためのメニューを組んでくれました。筋トレのように、メニューとセット数(秒数や回数)が決まっていればやらなければならないことは明確。なんとなく30分くらいストレッチをやるといった曖昧なケアではなく、必要なケアをしっかりと行うことができます。IKUKOのためのコンディショニングメニューは9つ。20分でできる自宅ケアを教わりました。記事では、そのうちの4つを紹介します。

ふくらはぎをほぐす

アキレス腱から足をひざ裏方向にたどり、ちょうど筋肉がぽっこりと膨らみ始めるあたりを確認(疲労がたまりやすい部分)、その箇所をコンツアードフォームローラーにのせ、両手は後ろに着く。お尻を浮かせて前後に動かす。さらにしっかりとほぐすには、逆側の足をクロスしてのせ、前後に動かす。

激しい痛みを我慢して行うのはNG。どうしても痛い場合にはのせていない方の足を立てる・お尻を浮かさずに行うなど、イタ気持ちいい加減を調整しよう。前後の動きを終えたら足首を左右に振るようにしてほぐす。足首は立てない、足に力が入らないように注意。

おしりをほぐす

膝を立ててオーブマッサージボールの上に右のお尻だけで乗る。両手は後ろに着く。右足を左の膝の上に乗せる。右のお尻を支点にボールを転がし、お尻全体(大臀筋)をほぐす。左右両方行う。

上半身と下半身の連動性をあげる

座った前に横向きにコンツアードフォームローラーを置く。右足を90度になうようにたたみ、左足は後ろへのばす。フォームローラーの上に左手をのせてローラーを押し、回転を利用して前方へ伸びるようにして深呼吸をしながら上半身を倒していく。左のお尻と左肩をしっかり押すイメージで。これを左右両方行う。走る時の動きに似せたストレッチを行うことで、腕振りと足上げの連動性が高まる。

胸をひらく

膝を立ててあお向けに寝転がり、肩甲骨の下あたりにコンツアードフォームローラーを入れる。頭の後ろで手を組み、肘を合わせる。肘を開きながら身体をたおす。力を抜いて、できるだけ肘が床に着く位まで開く。その状態のまま、肋骨を開くようにして大きく深呼吸を5回。次に、息を吸いながら肘を合わせるようにして身体を起こし、息を吐きながら身体を倒す。これを5回。最後に身体を倒した状態で3回深呼吸をする。トレーニング前に行うと効果的!

 

1日20分でも7分でもいい。「毎日」やることが大切

「できれば1時間が理想」とは言うものの、トレーニングもして、仕事もして、疲れて帰ってきた夜にそんなに時間が取れないのが正直なところ。毎日どのくらいなら時間が取れそうですか?と聞かれて答えた時間は20分。「20分でもいいと思います。どうしても眠くて眠くて、と言う時は5分でも、7分でもいい。長くやることよりも、毎日やることが大切ですね」と塙トレーナーは言います。

今回教わった内容は、ストレッチ(筋肉を伸ばす)だけでなく、身体が持つ本来の機能が疲労などによって損なわれていかないように「身体や筋肉の状態を整えてパフォーマンスを維持・あるいは上げる」もの。ひとつひとつのケアの動きがトレイルランニングや100マイル完走にどういった意味を持つのか、走る時にどのように効果的なのかを理解した上でケアすることがいかに大切か、この数か月で見えてくるのではないでしょうか。ただただやみくもに走るだけで完走できるほど100マイルは簡単じゃない。ベストな身体の状態で本番を迎えることができるか否か。コンディショニングは100マイル完走のキーワードのひとつなのかもしれません。

IKUKO「いままで怪我していなかったのは奇跡かもしれないですね。ジョギングはしてきたけれど、ちゃんとトレーニングしたことがなく毎日のトレーニングで負荷を積むこともなかったので、ふくらはぎに違和感を感じたのも初めてです。企画が始まって早々だったのでちょっと不安でした。出張にも持って行って続けてみます!」

塙トレーナー「IKUKOさんの印象は・・・かなり身体がかたいですね(笑)。ケアをやっていないまま続けていれば故障をしていた可能性があるくらいの身体の硬さです。でも、毎日続けてほぐれたら、もっと力が出ると思います。身体がほぐれて筋肉が柔らかくなることで栄養も身体にめぐりやすくなり、疲労物質も流れやすくなるのできっちり続ければ効果はすぐに感じるんじゃないかと思います。セルフケアもいろいろな目的で行われますが大きく分けて2つ。ゼロに戻すかプラスの要素を加えていくか。IKUKOさんの場合与えられたメニューを質を保てるようなセルフケア、つまりゼロに戻すセルフケアをお伝えしました。これで大幅に変更となったメニューもこなせる体へと変わってくるはずです。大丈夫、可能性しかないですよ!」

今回使用したアイテム


PRO-TEC ATHLETICS 「プロテック」
コンツアード フォームローラー

6,000円(税込6,600円)
ストレッチング用のフォームローラーは、筋膜をリリースし、筋肉の柔軟性を生み出します。背筋上下部、上腕三頭筋、腸脛靭帯、ハムストリング、内転筋、大腿四頭筋など、多くの部位のストレッチングに対応します。ローラーの表面にある凹凸が筋肉の張りやコリを効果的にほぐします。

PRO-TEC ATHLETICS 「プロテック」
オーブマッサージボール

3,500円(税込3,850円)
直径12cmマッサージボールは、球体の特長を生かしてターゲットに集中してマッサージをおこなうことができます。筋肉疲労や張りをほぐし、筋肉の柔軟性を回復しパーフォーマンスを引き出します。腸脛靭帯・ハムストリング・大腿四頭筋・脹脛のマッサージに最適です。


PRO-TEC ATHLETICS 「プロテック」
フォームローラー エクストラ ファーム トラベルサイズ

2,500円(税込2,750円)
ストレッチ用のフォームローラーを持ち運びやすいサイズにし、遠征先に便利。通常のフォームローラーより硬く、深い組織まで刺激できます。フォームローラー同様、筋膜をリリースし、筋肉の柔軟性を生み出します。背筋上下部、上腕三頭筋、腸脛靭帯、ハムストリング、内転筋、大腿四頭筋など、多くの部位のストレッチに対応します。

今回教えてくれたトレーナー 塙 翔太(CORE DESIGN)

<パーソナル・グループレッスン等の問い合わせ>
コアデザイン https://coredesign.club/
ORIGINAL RUNNING EDUCATION https://ore-run.wixsite.com/running

3月11日(水)20:00~ さかいやスポーツシューズ館
「ロングレースでも役に立つ PRO-TECセルフケアセミナー」
お問合せ先:03-3262-0433

<資格>
日本スポーツ協会認定アスレティックトレーナー
日本トレーニング指導者協会認定 トレーニング指導者
日本低酸素協会 低酸素システムトレーナー
EXOS Japanese Mentership レベル1修了
Corrective Exercise Provider LV1修了
Corrective Exercise Provider LV2修了
World Football Academy Periodization Basic 修了

<トレイルランニング競技実績>
The beast Trail 100km(台湾) 1st
The Most Beautiful Things 100km(マレーシア招待選手として参加) 23th
霧島えびのエクストリームトレイル63k年代別3th
HK168km(香港) 19th
石垣島オーシャンビュートレイル優勝
伊平屋ビレッジトレイル3位

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