山本 健一 / KENICHI YAMAMOTO(4)経験は未来へとつながっている
■プロになってからの毎日
山を走ることは日常であり、非日常でもあります。だから毎日続けてもちっとも飽きないんですよ。目に見える風景や感じ方に変化があるから。
いまは朝9時頃から練習を始めて、その日の体のコンディションを見ながら終わる時間を決めています。長いときには夜まで走ることもありますけれど、平均で3時間前後。夕方から夜は体のケアの時間にあてています。
競技を続ける体を維持するために、いま6人のプロの力を借りています。もちろん自宅でもセルフケアを欠かさず行っていて、毎日ストレッチボードに30〜40分乗ったり、プロテックで筋膜リリースをしたり、ヨガをしたりしています。
走る時間が長くなればなるほど、ケアに時間を割くようになりました。だって、ずっと走っていたいからね(笑)。
僕はウルトラレースがすごく好きなんです。準備をしているときや走っているときももちろん楽しいんだけれど、ゴールした後の嬉しさがものすごい。ゴールする瞬間だけじゃなくて、時間が経っても後から何倍にも喜びが膨れあがってくるというか。ゴール後にどんどん楽しさが大きくなって、ニヤニヤしちゃうくらい。
それくらいウルトラレースには達成感があります。
■これからやりたいこと、その先にあるもの
プロに転向しようと決めたのは、やはりアスリートとしてチャレンジしたいからです。教員の仕事はとても好きで、自分にも合っていたんだけれど、どうしても時間の制約がありました。プロになったからには、いままで時間的にできなかったことをやっていきたいですね。
まずは海外レース、そしていろんな山域でのFKT。
学生時時代、山岳競技やモーグル競技に真剣に取り組むための環境を選び取ってきたときには、常に明解に未来のビジョンがありました。
でもいまは、そのときとはちょっと違うんです。あれもこれもとやりたいことがたくさんある状態で、それらを順番に一つずつクリアしていくイメージ。
クリアしていくことで、今後、もっとずっと先の未来が見えてくるのかもしれないと思っています。過去を振り返ると、自分がやってきたことはすべて繋がっていたから、これからもそうなる気がしています。
いま所属するフルマークスと知り合ったのも、実はモーグル競技をしていた大学時代なんですよ。白馬のお店に行ってリュックを買ったのが始まりですから、長い付き合いです。
ニューハレだって、芥田さんと知り合って、もう12年ですから。
いつも節目節目に不思議な出会いがありました。そうした出会いが重なって、「自分がやりたいことをやっていけばいいんだ」という確信に繋がっています。
僕にとってはすべてが繋がっている、無駄なものはひとつもないんです。
山本 健一